ガラスと家電

また、液晶テレビやプラズマテレビ方面では、コストダウンが課題になっている。液晶テレビやプラズマテレビ等の薄型テレビは、価格が安いため大きな売り上げが難しいのだ。

だが、家庭のテレビは総じて大型化している。液晶テレビの所有率は2011年までに50%を切り(地上波のため買い替えを余儀なくされたご家庭も多いだろうが)、平均サイズが32インチで、40インチ以上、50インチ以上のテレビを2台以上所有しているご家庭も多い。現在は60インチ以上の生産もメーカーは注力している。
今後、さらにテレビは大型化し、オリンピック開催等の話題からそれの需要はさらに伸びるだろう。

タブレットやスマートホン向けのガラスも、シェア第1位コーニング社のゴリラ・ガラスを追い抜く勢いで日本メーカーはシェアを伸ばしている。
特に注目が旭硝子のドラゴントレイルだ。
ドラゴントレイルは薄型の曲げられる「強化ガラス」である。1m以上の高さからスマートホンを落としても割れない、というのだからすごい。通常の板ガラスの6倍の強度があるという。キズにも強く、質感にも配慮されている。
余談だが、0.1mm以下の薄い板ガラス(くるくる巻けるようになるらしい)も開発が進んでいる。

ガラス産業はエネルギーを使う

ガラスは1,500℃以上で溶解させるため非常にエネルギーを使う産業である(国内エネルギーの0.5%相当)ため、生産する過程も「省エネ」が可能になれば、ガラスを利用する商品のコストも大幅に変わってくるだろう。

特に日本のガラスは、重油や原料の珪砂やソーダ灰等を輸入に依存しているため、総じてコストが高いのだ。海外メーカーのほうが、その点で利益を出しやすい。また、燃料や海上運送費の高騰もあり、日本製のガラスは値上げされている。
これらが、「省エネ」可能になってくると、高機能複層ガラス(エコガラス、防犯ガラス、防音ガラス等)も価格が抑えられ、「高機能ガラスなんて、高すぎて手が出せない。……効果があるのはわかるのだけど」というご家庭も購入を視野に入れるかもしれない。
ガラス産業の今後は、国内の需要もさらに伸びるのではないか、と考える。